2008.05.18
PHASE2-奪われた翼 part3
シンは、目の前の光景に目を見開いた。
車は転倒し、あたりから人のうめき声が聞こえる。
――あの時と、同じ
シンは自分の体がすくみ上がるのが分かった。
いたるところから吐き出される煙、血、うめき声。
2年前に、アスランに言われた言葉がある。
“過去に囚われるな”と。
でも、それでもやはり、過去の記憶は消えやしない。
母さんや、父さんや、マユが死んでしまった記憶は。
「くそっ、一体、何が――」
シンは頭を左右に振ると、キラやアスランの姿を探した。
二人の姿を探している時、目の端に苦しむ人々の姿がちらつく。
「何処だよ、あの人たち……」
ふと中央で転倒するバスの端に、茶色い髪の毛がちらついた。
その直ぐそばで、青い髪の毛も目に入る。
「あそこだ」
シンは、急いでバスに駆け寄った。
バスに近づくにつれて、煙の量が多くなる。
「キラ、アスラン!」
服で口を押えながら、シンは大声で呼んだ。
その声に反応して、アスランがこちらに振り返る。
「シン! 来たのか」
「当たり前だろ! それより、……これは一体なんなんですか?」
「それは、分からない…。急にバスが爆発したらしいんだ。ガス爆発か、もしくは……」
――バスがガス爆発だ?
んなダジャレみたいなことが現実にあってたまるか。
「もしくは、なんですか」
もしくは――の続きをちゅうちょして言わないアスランに、シンは苛立ちを覚えた。
――本当にこの人は俺を苛立たせるのが得意なようだ。
すると、シンの心情を察してか、アスランに変わってキラが答えた。
「もしくは……計画的に行われた、爆破テロ」
「テロ? この、中立のオーブでですか?」
いや、この中立のオーブだから、なのかもしれないが。
まさかオーブでテロだなんて。
オーブでテロが起こるなんて、戦争時ならまだしも、なぜこう平和な時に?
「詳しくは分からない。とにかく、今は怪我人を助けるのが最優先だ」
「救急車は?」
「ついさっき呼んだよ」
――この際、計画的なテロよりも、バスがガス爆発のほうがいい。
過去の記憶が消えない為か、シンは誰かが人工的に流させる血というのを極端に嫌っているのだった。
そういうものに対しては、恐怖さえ覚える。
もしこれが本当にテロだったら、真面目にラクス・クラインの護衛をすることになるかもしれない。
シンの心の中は、不安で一杯になるばかりだった。
――――
「アスラン……」
カガリはそう静かに洩らした。
それに気付いた、ラクスは、カガリの肩をとんと叩く。
「ここで待つなんて、私達に出来るわけありませんのに。心配なのでしょう? 外で何があったのか。カガリさん、行きましょう」
「ラクス……」
ラクスは、そうやってカガリに言いつつ、自分も心配しているだけというのに気付いていた。
心配で心配でしょうがない。
そしてなのより不安だった。
さっきの爆発音、震動からして、そうここから遠くはない。寧ろすぐ傍だろう。
そんな危険なところに、あの三人だけで行ってしまうなんて――
キラ達にとったら、きっとラクス達を危ない目にあわせないためなのだろうけど、彼女達にとったら、それが逆に不安になるのだ。
――危険だからこそ、傍にいてほしい
「あいつらぁ〜俺を差し置いて! 何が“アスラン!”“ああ、分かってる!”だぁ?」
「おいおい、落ち着けってイザーク」
「おいラクス・クライン! 一応俺達はお前の護衛役なんだ。一人になられたら困る! 俺はあいつらのところへ行く! 一緒に来い!」
「ってイザーク、なんでお前、そんなん無理に決まって――」
「構いませんわ。皆さんで行きましょう」
「ええ! ちょっと……はぁ……ったく」
ラクスは、イザーク、ディアッカ、ルナマリア、そしてカガリの顔を見つめるとコクリと頷いた。
「嫌な予感がします」
車は転倒し、あたりから人のうめき声が聞こえる。
――あの時と、同じ
シンは自分の体がすくみ上がるのが分かった。
いたるところから吐き出される煙、血、うめき声。
2年前に、アスランに言われた言葉がある。
“過去に囚われるな”と。
でも、それでもやはり、過去の記憶は消えやしない。
母さんや、父さんや、マユが死んでしまった記憶は。
「くそっ、一体、何が――」
シンは頭を左右に振ると、キラやアスランの姿を探した。
二人の姿を探している時、目の端に苦しむ人々の姿がちらつく。
「何処だよ、あの人たち……」
ふと中央で転倒するバスの端に、茶色い髪の毛がちらついた。
その直ぐそばで、青い髪の毛も目に入る。
「あそこだ」
シンは、急いでバスに駆け寄った。
バスに近づくにつれて、煙の量が多くなる。
「キラ、アスラン!」
服で口を押えながら、シンは大声で呼んだ。
その声に反応して、アスランがこちらに振り返る。
「シン! 来たのか」
「当たり前だろ! それより、……これは一体なんなんですか?」
「それは、分からない…。急にバスが爆発したらしいんだ。ガス爆発か、もしくは……」
――バスがガス爆発だ?
んなダジャレみたいなことが現実にあってたまるか。
「もしくは、なんですか」
もしくは――の続きをちゅうちょして言わないアスランに、シンは苛立ちを覚えた。
――本当にこの人は俺を苛立たせるのが得意なようだ。
すると、シンの心情を察してか、アスランに変わってキラが答えた。
「もしくは……計画的に行われた、爆破テロ」
「テロ? この、中立のオーブでですか?」
いや、この中立のオーブだから、なのかもしれないが。
まさかオーブでテロだなんて。
オーブでテロが起こるなんて、戦争時ならまだしも、なぜこう平和な時に?
「詳しくは分からない。とにかく、今は怪我人を助けるのが最優先だ」
「救急車は?」
「ついさっき呼んだよ」
――この際、計画的なテロよりも、バスがガス爆発のほうがいい。
過去の記憶が消えない為か、シンは誰かが人工的に流させる血というのを極端に嫌っているのだった。
そういうものに対しては、恐怖さえ覚える。
もしこれが本当にテロだったら、真面目にラクス・クラインの護衛をすることになるかもしれない。
シンの心の中は、不安で一杯になるばかりだった。
――――
「アスラン……」
カガリはそう静かに洩らした。
それに気付いた、ラクスは、カガリの肩をとんと叩く。
「ここで待つなんて、私達に出来るわけありませんのに。心配なのでしょう? 外で何があったのか。カガリさん、行きましょう」
「ラクス……」
ラクスは、そうやってカガリに言いつつ、自分も心配しているだけというのに気付いていた。
心配で心配でしょうがない。
そしてなのより不安だった。
さっきの爆発音、震動からして、そうここから遠くはない。寧ろすぐ傍だろう。
そんな危険なところに、あの三人だけで行ってしまうなんて――
キラ達にとったら、きっとラクス達を危ない目にあわせないためなのだろうけど、彼女達にとったら、それが逆に不安になるのだ。
――危険だからこそ、傍にいてほしい
「あいつらぁ〜俺を差し置いて! 何が“アスラン!”“ああ、分かってる!”だぁ?」
「おいおい、落ち着けってイザーク」
「おいラクス・クライン! 一応俺達はお前の護衛役なんだ。一人になられたら困る! 俺はあいつらのところへ行く! 一緒に来い!」
「ってイザーク、なんでお前、そんなん無理に決まって――」
「構いませんわ。皆さんで行きましょう」
「ええ! ちょっと……はぁ……ったく」
ラクスは、イザーク、ディアッカ、ルナマリア、そしてカガリの顔を見つめるとコクリと頷いた。
「嫌な予感がします」
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