2008.04.26

PHASE1-芽生える焔 part2

「オーブに? でありますか……」

 シンは驚いて立ち上がるが、目の前にいるのが上司であることに気付き語尾を敬語に直す。
 そして赤い目でにっこり微笑む紫色の瞳を見つめた。

「うん。ラクスがオーブの首長の――カガリと会うから、護衛ついでに一緒に来ないかって」

 護衛ついでって……。そんなんでいいのか?
 シンはそういいたいのも山々だったが、それ以前にオーブに戻れるという事実に胸が躍った。
 メサイア攻防戦から、彼の中では何かが変化していた。
 シンは、家族が死んでからオーブを信用することが出来なかった。
 しかし、メサイア攻防線後、彼は自分がオーブを好きだったのだと気付いた。
 好きだったからこそ、家族を守ってくれなかったオーブに憤りを感じたのだ。
 オーブには、裏切られたくなかったから。
 
 メサイア攻防戦から2年もたち、現在C.E.76。
 シンも19歳になり、身長も170cmを超え、顔もどこか幼げな表情は消えていた。

 すると、目の前で未だに微笑み続けるキラが口を開く。

「で、来るよね? ここんところずっと仕事続きで大変だったでしょ? 護衛っていっても休暇みたいなものだろうし……。ほら、オーブにはカガリも居るけどアスランも居るから」
「ええ、別にいいですよ」

 どうでもいいような口調でそう吐き捨てる。
 しかし、実際心の中では必死に興奮を押さえつけていた。
 そんなシンを見て、キラはクスリと笑う。
 そして立ち上がると手を振り、茶色い髪を揺らしながらその場を去った。

「なんだよ…キラの奴……」

 なぜか顔を真赤にしながら、シンはボソリと言った。


 ――――


 場所は変わりオーブの内閣府官邸。
 アスランとカガリは、そこで話をしていた。

「で、いつキラ達はこっちに来るんだ?」
「えっと…今週中にはこちらに来ると言っていた。でもまだプラントも今色々と忙しいらしくて。ほら、例のザフト基地専用コロニーを建てるとかなんとか……」

 ああ、例の件でまだ揉めているのか。
 ザフト基地専用コロニー。
 要するに、ザフトの勢力だけを集めたコロニーだ。
 政治的には勢力は集めたほうが楽だろうが、勢力が一箇所に集まりすぎるとそこを落とされると勢力が一気に減るわけだ。

「ザフト基地なんて地球に沢山あるんだし、宇宙にまで専用コロニーなんて作らなくてもいい気がするんだけどなぁ……」

 ポロリと本音を吐くカガリ。
 確かに、アスランもそれは同意見だった。
 今更基地など増やしてどうするつもりなのだろう? 大きな戦争が起こっているわけでもないのに。
 上の考えることは良く分からない。
 ただ、ラクスやキラが反対しているのは確かだろう。

 ――そういえば、キラ達は元気だろうか?

 ふと、かつて共に戦った者達の顔が浮かんだ。
 キラに、ラクスに、シン。
 それに、イザークやディアッカも居る。
 一体彼らは今何をしているのだろう?

 アスランはただ純粋に、彼らに会えることが楽しみで仕方がなかった。
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