PHASE1-芽生える焔 part3
「おかえりラクス。議会はどうだった?」
キラは、議会から帰ってきたラクスに声をかけた。
ラクスはキラに気付くと、俯きかげんだった顔を上げてにっこり微笑んだ。
しかし、その顔はどこか不安げだ。
「あんまり……上手くいきませんわね」
「え、じゃあ……?」
「いえ、決定したわけではありません。でも皆さん建てるの方向に向かっていらっしゃって……」
キラは、ラクスの悲しげな表情を見つめると、深くため息をついた。
どうも、世の中は上手くいかないなぁ。
まあ、それは当たり前の事なんだけど。
当たり前の事だからこそ、こういう状況になって、それが今まで以上に腹立たしくなる。
「それでも、コロニーの建築は阻止したほうがいい。そんな風に基地なんてつくったら、未だに地球ではブルーコスモスが居るんだし……」
「自ら火種をまくようなことはしたくありませんものね」
ブルーコスモス。コーディネイターを忌み嫌う集団だ。
メサイア攻防戦時に、ブルーコスモスの親玉【ロゴス】は倒されたものの、やはり「間違っている」「恐ろしい」「彼らは敵だ」と思っている人々も未だに居るのだ。
自分とは違う者を軽蔑してしまうのは、人間として仕方がないことである。
そんな彼らの空の上に、でっかいザフト基地などつくってしまえば「コーディネイターが殺しに来る!」と怯え、また戦いになりかねない。
――争いがなくならぬから、力が必要なのだ
元プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルはそう言っていた。
しかし、キラはそうは思わなかった。
力があるから争いをしてしまうんだ、人間は。力さえなければ人は争わない。――否、争えない。
力があると、人の欲望心が何かを求めて手を伸ばしだす。「あそこなら手に入れられる」と。
キラは、ぐっと拳をつくり思う。
自分には政治の事についたら全然分からない。何も出来ない。
いくら力があっても、今この場じゃ無力なだけだ。
結局自分が持っているのは、争いをつくる力だけ。
その力を今自分はどう使えばいいのか。
キラは、改めて深く考えたのだった。
――――
「ええ!? シンもオーブにラクス様の護衛つくの?」
「そっ、俺とキラと、あとジュール隊の元ザフトレッドも行くらしいよ」
興味津々で聞いてくるルナマリアに、シンはそっけないフリをして言った。
内心興奮しているのだが。
「ジュっジュール隊長も行くの!?」
「らしいね」
ジュール隊長ことイザーク・ジュールは、アスランの戦友らしい。
護衛というより、まるで旅行気分だな。
まあ、ラクス・クラインを襲うような集団がオーブに居るわけないからな。
この時点になって、シンは改めて思った。
「いいなぁ、私も行きたいな、オーブ」
ルナマリアは羨むようにコチラを見ながらそう言った。
ようするに、「私も行きたいなぁ。連れて行って♪」という事だろう。
シンは、醒めた目でルナマリアを見つめた。
「ルナ、旅行じゃないんだからな、一応」
しかしルナは、そんなシンにすがるような甘ったるい声を出す。
「ねーぇ、シン。私も行きたいのよ、オーブに。ね?」
シンはルナマリアをじっと見て、呆れたようにため息をついた。
「分かったよ、キラに頼んでみる。一応ルナもアスランの元部下なんだし」
「本当? ありがとうシン」
ルナは、シンのOKの返事をもらうと、スキップしながら自室へと戻っていった。
――ルナなら、別にオーブに行ってもいいよね。
それからシンは、キラにどんな風に言ってルナもオーブに行く許可を貰うか必死に考えたのだった。
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