PHASE1-芽生える焔 part4
それから、直ぐに一週間が過ぎ――
「キラ!」
「アスラン!」
アスランは、まず初めに出てきたキラに歩みよった。
それに気付いたキラもぱっと顔をあげてこちらに歩いてくる。
その後ろからはおなじみのラクス、シン、そしてイザークやディアッカ、ルナマリアまでもがぞろぞろと出てきた。
イザークやディアッカが来ることは聞いていたが、ルナマリアまで来るとは驚きだった。
まあ、あの後シンと色々あったらしいから、予想していなかったわけではないが……。
そういう類の事はどうも苦手である。
「ラクス、よく来たな」
「カガリさんも、元気そうですわね」
カガリとラクスは軽く抱き会うとお互いに微笑む。
今日のラクスはいつもと同じように軽めのドレスを体にまとっていた。
ピンク色のドレスがなびいて、前以上に大人びた雰囲気が漂っている。
アスランは、それと対象にカガリの格好を見る。
白いブラウスに紫色のスーツ姿。
――ラクスと違ってカガリは全然変わってないんだなぁ。
前より髪が伸び女性らしくなったはずだが、2人を見比べてみるとやはりカガリのほうが子供っぽい。
アスランはなぜだかクスリと笑った。
「相変わらず変わってないんですね、アスハ代表は」
シンがキラの後ろからひょっこり顔を出し、アスランに嫌味っぽく呟く。
――お前もな。
そう言いたくなったのを、アスランは必死に押し殺した。
「こらシン、アスハ代表にそんなこと言ったらだめじゃない! 一応代表なんだし」
フォローするつもりが全然フォローになっていないルナマリア。
変わったのは外見だけで、中身は皆あまり変わっていない様だった。
そこでアスランは初めてある事に気付いた。
「あれ、メイリンは連れてこなかったのか?」
アスランの質問にシンとルナマリアは顔を見合わせる。
どうやら知らないらしい。
するとキラが変わりに答えた。
「メイリンはグールド議長に呼ばれたから」
「グールド議員に? なぜ?」
「さあ? 僕もそこまで知らないんだ。ただ呼び出されて――」
「メイリン・ホークは情報のエキスパートなのだろ? どうせ何かの情報がほしいだけだ」
四人で話している中、横から誰かが割り込んできた。
銀髪の髪に白い軍服。相変わらず髪はしっかりと整えられている。
イザーク・ジュールだ。
「あ、イザーク……」
「あ、じゃないだろ、あじゃ! 俺はずっとココに居たんだからな! 大体なんでこんなところで貴様らの立ち話に付き合わなければならんのだ。俺は早く部屋に入りたいんだ!」
さっきまでの落ち着いた声は何処へ行ったのかアスランに掴みかかって大声で怒鳴りつけた。
その後ろでは呆れたような顔でアスランに微笑むディアッカの姿がある。
アスランは、イザークの勢いに飲まれつつディアッカに微笑み返した。
カガリはラクスと相変わらず話していたが、俺達の騒ぎに気付くと慌てたように言った。
「わっ悪かった、中に入ってくれ」
180度向きを変えて内閣府官邸へ招き入れた。
シンやルナマリアが遠慮するように入る中、イザークは堂々と入っていく。
アスランとキラは、そんな姿を見て、顔を見合わせて笑った。
――――
「そうか……議会はあんまり上手く言ってないのか……」
カガリは深くため息をついた。
なんとなく予想はしていたものの、ラクスから直接伝えられると現実味があった。
「ええ、皆さん開発する方向へ向かっていらっしゃいます。勿論ジュール議員やエルスマン議員のように反対してくれる方もいるのですが、ライトナー議長がなかなか納得してくれないのです」
「ライトナー議長が……」
ふとカガリの頭の中で、停戦後に握手を交わした優しげな笑みがよみがえる。
彼女は中立派のはずなのに、なぜそうもコロニー開発にこだわるのだろうか?
彼女も、コロニー開発が戦争の火種になってしまうかもしれないという事を理解しているはずなのに。
すると横からアスランが口を挟んだ。
「ライトナー議長は血のバレンタイン後に一度急進派へと転換したことがある」
「そう、なのか?」
アスランの話に耳を傾けつつ、ラクスの顔を見やる。
「ええ、確か父がそのような事を言っていました。きっと、議長も怖いのでしょう。無力のせいで大切なものを失ってしまうのが」
カガリはぐっと顔を俯けた。
怖い――議長の気持ちも良く分かる。でも、国の代表がそんなのでいいのか?
力を持ちすぎたら、いずれその力が溢れ出る。
だいたいザフト基地専用コロニーなんて作ってどうするんだ?
そこに力を集めたところでその恐怖が消えるのか?
「まあまあ、そんな硬いこと言ってないでさ〜のんびりしようぜ。休暇だぜ?」
「ディアッカ! これは休暇ではない、あくまでラクス・クラインの護衛だ!」
「あ〜そうそう、護衛ね、ご・え・い」
ディアッカは馬鹿正直に答えるイザークに苦笑いした。
この記事へのトラックバックURL
http://0nadami0.blog15.fc2.com/tb.php/7-ff692a94
この記事へのトラックバック