PHASE2-奪われた翼 part1
アスランとキラは、目を見開き息を呑んだ。
銭湯が、こうして平然と建ったままなのが不思議な気分だった。
道路を走っていたと思われる車は、数メートル先に多数ひっくりかえっていた。
中に人が居るのか、生きているのか死んでいるのか、ここからでは全く検討がつかない。
その横では大型バスが黒い煙を吐き出しながら横たわっていた。
アスランは、近くで人のうめき声を聞いてはっと我に返った。
左を振り向くと、腕を押えて出血を止めようとしている男性がいた。
「大丈夫ですか? な、何があったんですか?」
アスランは、その人に駆け寄りその人の体を支えた。
キラもあとからよってきて険し気な顔をする。
その男性は、痛々しく顔を歪ませつつ必死になって答えた。
「急に…バスが爆発したんだ……まだ中に…人が……」
「バスが…!?」
アスランとキラは顔を見合わせた。
バスが急に爆発するなんて。
衝突したわけでもないのに。
「アスラン、まだ生きている人が居るかもしれない」
「ああ…分かった」
アスランは、その男性をそっと道路の脇に座らせると、バスに向かった。
火はでていないが、煙の勢いが止まらない。
「せっかく綺麗に洗っても、これじゃあすぐにボロボロだな…」
煙を吸い込まないように口を手で押さえてバスを覗き込む。
動く人影が見えないか必死に目を凝らすが、見つからない。
もしかすると、全員――
アスランは、背筋に冷や汗が流れるのを感じた。
――――
「正義感、か。そこだけは評価してやってもいいだろう」
ライルド・スルーは、爆発を見てクスリと笑った。
後ろで一つに束ねてある自分の長い黒髪をゆっくり撫でる。
黒いスーツは、彼の心の内を表しているようだ。
「アスラン・ザラ。確かに《正義――ジャスティス》のパイロットにふさわしい。だが……」
そこでにやりと骨格を持ち上げる。
声にさえならない笑い声が聞こえてくる。
「父親を裏切ってまで貫くものかね、正義とは。時として正義は人を惑わす」
パトリック・ザラ。かつてのプラント最高評議会議長、そして、ナチュラルを憎み続けた男。
パトリックは最期まで報われなかった、とライルドは思う。
ナチュラルを滅ぼすことが出来ない上に、妻が死に、息子に裏切られ、憎しみに囚われたまま死んだ。
まだ生きていれば、互いに支え合うことが出来たかもしれないというのに。
まあ、支え合うといっても、自分が一方的に利用するだけだが。
「君とも支え合いたいものだよ、ザラの息子。そして、キラ・ヤマト――」
その瞬間、ライルドの目に冷たい光りが走ったように思えた。
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アルファポリスのサイトからきました。
同い年ですね。
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よろしければきてくださいね。